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「ミレニアム1:ドラゴン・タトゥーの女」

たった今、映画版を見終えたが、その前に原作小説に対する
レビューを記したいと思う。
(※今回から追記に物語の結末=ネタバレを記すことにする)








あらすじ:

月刊誌『ミレニアム』の発行責任者であり、ジャーナリストの
ミカエル・ブルムクヴィストは、ある裁判に敗れ、記者としての
名声と信頼とを失った。彼は大物実業家であるヴァンエルストレムの
不正を暴く記事を発表したが、彼の一味が仕掛けた罠にはまり、裁判で
有罪判決を受け、刑務所送りが確定したのだ。彼は他のメンバーに迷惑を
かけまいと、発行責任者の地位を退く。

そのころ、ミルトン・セキュリティーという企業で調査員として働く
リスベット・サランデルは、ディルク・フルーデという弁護士の依頼を受けて
ある男の調査を行っていた。ミカエルである。高度なハッキング能力と瞬時に
見たものを記憶する才能を持つ彼女は、調査対象であるミカエルにいつしか
興味をおぼえる。

ミカエルはディルク・フルーデの連絡を受け、彼の主人であるヴァンデル・グループの
元会長ヘンリックと会う事となった。ヴァンデル・グループはヴァンエルストレムの
会社に匹敵する大企業で、その元会長はミカエルにある依頼を頼もうとしていた。
ひとつは、ヴァンデル家の記録を書き記すこと、もうひとつは、40年前に失踪した
兄の孫娘ハリエットを殺害した犯人の調査である。

ヘンリックは自分の一族を強欲にまみれた人間として憎んでいた。だが、
彼はハリエットを実の娘のようにかわいがり、いずれは後継者にしようと
していた。その彼女の突然の失踪で彼は会長職を退き、個人の力で調査を
行っていたのだ。
彼はハリエットが一族の何者かによって殺害されたものとみていた。
ミカエルは当初、依頼を断ろうとしていたものの、彼にヴァンエルストレムを
失脚させる証拠をちらつかされ、依頼を引き受けることとなった。また
ヘンリックは財政難に陥った『ミレニアム』を支援することも約束する。

調査のなかで、彼はヴァンデル一族の歴史、人間模様を知るようになる。
だが、調べれば調べるほど様々な謎があらわれるばかりであった。
やがて、彼はハリエットの失踪が同時期に起きた不可解な殺人事件と関連性が
あるのではないか、と考えるようになる。そんなとき、依頼主であるヘンリックが
心臓発作で入院することとなった。ミカエルのある調査報告を受けての心労であった。
彼は一族の人間から疎んじられるようになったが、それでも調査をやめようとはせず、
弁護士であるフルーデに、調査のために助手が必要になったことを語った。すると、
彼はある人物の名を誤って紹介してしまった。リスベット・サランデルだ。

リスベットは、自分に暴行を働いた後見人の弁護士フィルマンに制裁を
加え、自由の身にあった。彼女はフルーデから身辺調査の依頼を中止するよう
言われてからも、ミカエルについて調べていた。彼女は他人のことを調べるのを
趣味としていたのだ。そんな彼女の家に突然あらわれるミカエル。リスベットは
その来訪に驚くほかなかった。ミカエルは彼女を助手として雇おうとしていたのだ。

ミカエルと契約をかわしたリスベット。彼にとって、リスベットは今まで一度も
会ったことのないタイプの女性であり、彼女の“癖”にはじめはとまどいをおぼえた。
だが、彼女の有能さに感心と敬意を抱き始める。

リスベットが仲間に加わったことでミカエルの調査は早く進み、あることが判明した。
なんと、ハリエットは失踪する以前、同時期に起きていた女性連続殺人事件を調べていた。
また、その殺人事件は聖書をなぞらえており且つ犠牲者がユダヤ人であった。このことから
犯人が反ユダヤ主義思想の人間であることを突き止める。ちょうどヴァンデル家には戦中に
ナチスに加担した人間が数名存在した。

調査を続けて行くうちにある人物の名がたびたび登場していた。現会長であるマルティンだ。
ミカエルは真相を探るべく行動に出るが、マルティンによって捕えられてしまう。
彼は父親のゴッドフリードの影響を受けたサイコパスであった。レイプするために女性を
拉致・暴行し、証拠隠滅のために殺害を、それも何十年も繰り返してきたのだ。
窮地に陥ったミカエルの前にあらわれたリスベットはマルティンを撃退し、ミカエルを救う。
マルティンは車で逃走を図ったが、事故で死んでしまう。

ミカエルは、マルティンがハリエット殺害の犯人ではないことを知った。では、いったい
誰が真犯人なのか……?

























どうしても結末を記すのはもったいないと思ったので、書くことをやめた。

かなり、驚かされる結末であることだけはここに記そう。









ということで、感想に入りたいと思う。















物語は劇的といえる展開がそれほど多くない。
地道な調査の連続が描かれている。

主人公が探偵ではなく、ジャーナリストであるからだろう。


どこか長ったらしい感じがあるかもしれないが、その分、各描写は細かい。
人物の性格設定などもよくできあがっている。


ジャーナリストとしての倫理観を持つ一方で、私人としては
女性遍歴の多い主人公ミカエル――通称“名探偵ミッレくん”



とにかく、色んな女と寝まくる。
男としては羨ましい限りではないだろうか?

光源氏よりも“おおらか”な感じもする。
既婚者であり『ミレニアム』の編集長であるエリカとは愛人関係を、
調査対象の一人であるセシリア・ヴァンデルとも愛人関係を、
ヒロインであるリスベットとも愛人関係を、
二巻では・・・と(以下省略)




どんだけセックスしたら気が済むのかよ???
しかも、そのほとんどが彼から望んだものではなくて、相手から言い寄って…。


肉食系男子と言うには消極的だが、草食系男子と言うには遍歴の数が多い男。



キャラクターとして、主人公としてたしかに魅力がある人物だ。

だが、それゆえに――物語のキャラクターという感じがありすぎる。
それはつまり、創られたキャラクターとしての露骨な存在感があるということだ。
ゆえに感情移入の度合いも、リスベットほどには深く思えなかった。







それと対極にあるのがリスベット・サランデルだ。



便宜的にはヒロインだが、彼女こそ物語のヒーローかもしれない。
ヘンタイ弁護士にフェラチオを強要され、あげくにアナルセックス。それに対する
報復は凄まじい。

文中では何度も彼女の性格――とくに精神状態のことが繰り返し記されている。
それによって、リスベットはいわゆる普通の女性と違って感情表現の乏しい女性で
あるかのような印象を受けてしまう。

だが、私は彼女ほど人間らしい、あるいは女性らしいキャラクターはいないのではないか、と
思った。

ミカエルは男性や女性の願望があてはめられた“キャラクター”であるが、
リスベットはその世界に存在する“住人”であり“人間”なのだ。
彼女に対する心理描写というか、場面も、ミカエル以上に細かい感じがする。

大好きなヒロインだ。
“リスベット萌え”と叫びたい♪

それほど、かっこいいしかわいいのだ!!!



窮地に陥ったミカエルを助ける場面なんて、どっちが男で女なのか……!


彼女の外見は“女性”としたら魅力的ではないかもしれない。
パンクロッカーみたいなかっこうをしていて、口や鼻にピアス、背中にタトゥー。

不良少女って感じがするが、けっしてそうではない。むしろピュアなのだ。
内面的にはやはり“女性”といえる。






とくにラストシーンの行動はそれを物語っている。







あの数行でこの作品を、続編出さずに完結させても良いのではないか、と思える。
それぐらい余韻があって、切ないのだ。



リスベットがやはり人間であること、女性であることが分かる場面ではあるが…。











そんな彼女は、ある男たちに対して燃えたぎる憎悪をもやしている。

それは本作の原題訳である

「女を憎む男」


作品を読み終わったあとにタイトルについて考えて思うのだが、
英語訳である「ドラゴン・タトゥーの女」よりもこちらのほうがはるかに
しっくりくるとおもうのだ。気のせいだろうか・・・?




本作に、それ以降に登場する悪役たちはみんな女性を差別する人間ばかりである。



女性に暴力をふるう場面の描写は読んでいてとてもエグい。
「作者はそういう趣味の人間なのか?」と、人によっては思わざるを得ないほどのものだ。


だが、それらは作者の欲求を発散させるための存在ではない。私は作者が
サディストな人間とは思えない。むしろ逆の立場の人間ではないかと思うのだ。


ビュルマンも、ゴッドフリートも、マルティンも、女性を自らの欲望のはけ口にしか
思っていない。そんな彼らはみんな悲惨な最期を迎える羽目になる。だが、読者が
それにたいして同情の余地を与えることはないだろう。

彼らはスウェーデン社会に、あるいは世界中に存在する女性差別をする男たちの
戯画ではないか、と思う。だから、悲惨な最期を迎えたのだろうとも。


事件の後、ミカエルは自分を殺そうとしたマルティンに対して同情の念を向けようとする。
父親が変態でなければ彼がこのような道を歩むことはなかったのではないか…と。

それに対して、リスベットは猛反発する。正しい反発だ。
「羊たちの沈黙」や「サイコ」といったサイコ・スリラーものであれば、
悪役であるサイコパスないしシリアルキラーの感情に重きが置かれる。そこには
犠牲者の視点と言うものが欠如している。

リスベットは犯人を倒したヒーローであると同時に、男に性的虐待を受けた犠牲者でもある。
だから、彼女はマルティンに同情の念を向けることなく、一蹴するのだ。それが普通の
感覚である。いくら悪い環境で育ったからと言って、それによって性格がねじ曲がったからと
いって、犯罪行為が許されるはずはない。

殺人事件において、裁かれるのは犯人であって、犯人が使った凶器ではないのと同様に、だ。
マルティンは一方的な加害者――サイコパスなのだ。



事件の真相を探るさなかでのサイコパス登場には安易な感じがしたが、本作を
“ジェンダー・フリー”の小説として読みとるならば、その登場も頷ける。
まさに、マルティンらは「女を憎む男」であり、それを倒したリスベットは
「女を憎む男」を「憎む女」だ。


世界的に男女平等が叫ばれている現代。しかし、依然として女性は差別の、
とくに性差別の対象としてひどく不当な扱いを受けている。
そんな情勢下において、リスベットはある種のイコンである。

風変わり且つ型破りのファッション(風貌)、ヘヴィスモーカー、
バイセクシャルともいえる性、ときおりみせる暴力性、公権力に対する反発心…。


それらは女性を“女性”として抑圧する風潮へのアンチテーゼと捉えることもできる。







とにかく、私はこのリスベットが好きだ。
ついさっき、原作二巻と映画版を見終わったのだが、早く続きを楽しみたい。
大学さえなければ!!!


















作品としての全体的な感想に入ろうと思う。




本作はジャンルとしてはミステリー・サスペンスの部類に入るだろうが、
それだけでカテゴライズをするにはあまりに内容が濃い。


謎をひとつひとつ解き明かしていくさまも面白いが、

女性差別問題、社会問題、メディアリテラシーの問題、人間関係の問題と、
さまざまな問題が物語に登場し、読者はそのつど考えさせられてしまう。








だが、


人によっては――私のように、本作を恋愛小説と見なす人もいるんじゃないか???






ミカエルとエリカとのある意味で異常な愛人関係は不思議だ。
エリカには夫がいるのに、その夫はミカエルのことを容認して関係を咎めたりしていない。

彼はエリカ以外にも愛人をつくっている。それがセシリアだ。
二巻ではカノジョの親族とも。。。。


そういった彼の女性遍歴を知った上で、リスベットはしだいにミカエルにある感情を
おぼえるようになる。その際のリスベットの描写はまさに淡い恋の物語。


ミカエルとエリカ、そしてリスベットの奇妙な三角関係。





最終巻ではどう決着がつくのだろうか???


















なんか横道にそれたか。。。









とりあえず、本を上下巻とも手に入れたならば、ノンストップで見るべしと言いたい!
というか、わざわざ言わなくてもそうなるよ♪




読者をぐいぐい引っ張っていく文体は、さすが元ジャーナリストが描いただけあると思う。
その作者であるスティーグ・ラーソンが故人となっているのは本当に残念である。


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Author:黒 紅 茶
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ブログタイトルの“Of”は
飾りです。偉い人にはそれが
分からないのです(苦笑)
詳しくは「はじめに」を
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