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暴力はいけないことだと誰もがいうけれど

「14歳の世渡り術」というシリーズの本のひとつとして
発売された、萱野稔人氏の著作『暴力はいけないことだと誰もがいうけれど』について
レビューを行いたいと思う。






本の内容:

倫理的には「悪」と見なされているにもかかわらず、
ありとあらゆるところで黙認されている暴力について、
また国家と暴力の関係について論じたもの。



と、要約できる。
本書では最初に「暴力」についての著者の結論が述べられている。

暴力は「善いもの」とされることもあれば「悪いもの」とされることも
ある、ということです。(中略)むしろ大事なのは、暴力はどういうときに
肯定されて、どういうときに否定されるのか、ということです。

(P15)

また、暴力の善悪を考えても意味がないことも述べてもいる。
暴力じたいに「善い」「悪い」という性質があるわけではないからだとも。



「暴力はいけない」

誰もがそう言うと思う。

しかし、暴力はあちこちにはびこっている。


大きな暴力ならば、すぐに思いつくと思う。
戦争がそれである。

日常において、人を殺すことは悪いことであるといわれている。また、
私たちはそれを常識として生きている。けれども、戦争では平気で
人殺しが行われている。

チャールズ・チャップリンの「殺人狂時代」という映画で有名な
台詞がある。



一人殺せば犯罪者で、百万人だと英雄となる




おかしな話である。そんなおかしなことが戦争という非日常の状態でおきる。
暴力はいけないにもかかわらず。







人を殺すことはいけないことである。
しかし、どういうわけか「死刑制度」というものが存在する。
犯罪者を法の下、殺す制度である。そして、日本の大多数の人々が死刑を是認している。





いくらでも、暴力と、そこから派生する殺人行為の善悪は変えられるのである。
もちろん、道徳もである。自分の都合の良いようにできるのだ。






著者は本の第3章において哲学者エマニエル・カントについて論じている。
もちろん、「定言命法」と「仮言命法」についてである。

定言命法とは簡単に言うと、『ダメなものはダメ』ということである。
それと対する仮言命法は「~だから~する」というもののことである。






「悲しむ人がいるから人を殺してはいけない」
これが仮言命法。




「(人を殺してはいけないから)人を殺してはいけない」
これが定言命法。






カントは死刑制度について肯定しているが、著者の萱野氏はその点について
矛盾点を見出し、こう述べる。


どんな理由で死刑を肯定しようとも、やはり死刑を肯定するということは、
「場合によっては人を殺してもいい」ということを認めることであり、
「人を殺してはいけない」という定点命法と矛盾してしまいます。

(P62)



道徳とはけっきょくのところ時と場合によって左右される相対的なものにすぎない、
ということです。言いかえるなら、道徳というものは特定の条件や前提のもとで
はじめてなりたつ仮言的なものでしかない、ということです。

(P64)













暴力=悪







この認識は安易すぎるのだ。
かといって、暴力を肯定することは倫理的に難しい。









国家について、著者はマックス・ウェーバーの『職業としての政治』を引用し、
国家は特定の領土の中で合法的な暴力の独占を常に主張する組織と定義している。





以前、どこかの国の某政治家が自衛隊を「暴力装置」だか「暴力機関」だか
いって非難を受けていたが、あながち間違いではない。だが、自衛隊という組織そのものを
悪とするわけにはいかない。なぜなら、自衛隊は敵に対する抑止力でもあるから。

そして、その自衛隊のうえにいるのが政府である。
政府は警察機構をも操っている。政府はその気になれば、自分たちにとって都合の悪い
存在を抹殺することができる。合法的に。たとえそれが暴力であっても、「悪」とは
見なされない――正義とみなされることもないだろうが。











暴力はいけないことだ。何度もこのフレーズを繰り返しているが、
国民を統率する国家そのものが暴力を司る存在であるのだ。だから、だ。
私たちは暴力=悪という認識について考えなければならない。







暴力とは「たとえ不快なものであるとしても、やはり必然的存在(すなわち避けることの
できないもの)であって」、暴力によってのみ可能となることがある以上、私たちの
生きる世界から暴力がなくなることはありません。

(P216)







暴力を容認しろとはいわない。また、私自身、暴力を好まない。
だが、暴力が日常に(隠れて)存在することを忘れてはならないと思う。


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黒 紅 茶

Author:黒 紅 茶
どこかの田舎っぺです。
ブログタイトルの“Of”は
飾りです。偉い人にはそれが
分からないのです(苦笑)
詳しくは「はじめに」を
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