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コミュニケーションは、要らない

押井守の「コミュニケーションは、要らない」を買って読んだ。
『機動警察パトレイバー』や『ケルベロス』、『イノセンス』などで
知られる映画監督である。




本の内容:

ただ気分を吐き出すための言葉をネット上に書き散らし、
真偽の不確かな情報に右往左往し、目的もなく自分のフォロワーを
増やそうとする。そんなものは、コミュニケーションではない。
高度経済成長期以降、日本人は「現状維持」のために協調性ばかり
重んじて、本質的な問題について真剣に「議論」することを避け続けてきた。
そのツケが今、原発問題を筆頭とする社会のひずみとして表面化しているのだ。
我々はなぜ人と繋がろうとするのか。真のコミュニケーションとは何か。
世界が認める巨匠が初めて語る、目から鱗の日本人論。

(新書、裏表紙より引用)

本書は、コミュニケーションをテーマの中心に置き、
東日本大震災と原発事故を経た日本のコミュニティが
どのような状況にあるかを考察している。

「がんばろう日本」「絆」といった言葉への懐疑、
反原発という思想への疑問、
ソーシャルメディアへの批判、


現代の日本で「当たり前」や「常識」となっている事柄に
真正面から斬り込んでいる姿勢は、裏表紙の解説通り、まさに目から鱗である。


著者である押井氏は、コミュニケーションを論じるにあたって、その
定義を行っている。彼によると、コミュニケーションにはふたつの性質がある。

①現状を維持するためのコミュニケーション
②異質なものとつきあうためのコミュニケーション

                        
                         である。

著者は本来のコミュニケーションは②であるにもかかわらず、日本人は①に
偏り過ぎているを指摘している――これは旧態依然とも言いかえることもできるだろう。



コミュニケーションとは考え方だ。
考え方とは文化であり、だから歴史的背景を取っ払ってコミュニケーションを語ることなど
できない。それゆえに相手の言葉の背後にある文化や歴史を学び、理解する必要があり、
自分の言葉の背後にある文化=立場を明確にする必要がある。

(P38)


では、“現在”に生きる日本人のコミュニケーションはどうか?
言葉狩りや誹謗中傷合戦が盛んに行われているさまを見れば、言うまでもない。

一方で、ツイッターやフェイスブックといったソーシャルメディアの力と
いうものが高く評価されている。だが、ソーシャルメディアは道具に過ぎない。

押井氏は、道具の万能性の前に、それを用いる人間そのものの能力はどうなのか、と
疑問符を投げている――彼は、この国にはまともなコミュニケーションの内実が存在しないと
述べているのだ。


コミュニケーションの内実が存在しないということは「議論」の場というものも
成立していないことを意味している。



どちらが正しいのかという話をしたいのではない。
問題なのは、こういうことを正しく議論するまともな機会すら、
この国には与えられていないということだ。

(P120)



例えば原発問題。
「賛成」と「反対」ばかりがクローズアップされ、中庸の意見が存在しない。また、
そのような意見の存在も許されていない。自由な議論と言うものが行えないのである。


信用していない相手を説得する。だから、様々なテクニックを駆使して言葉を尽くし、
ロジックを強固にする。
議論とはそういうことだ。その家庭を経ているものであれば、結果としてどういう
結論に達するかということは、本当はどうでもいい。
大切なのは、そこでもれなく語れたかということだ。語らうことの総量が問題なのであり、
その語らいの中でより深く思考していく。

(P135)




彼は情報が氾濫する現状について、最後のページでこう述べている。

与えられたひとつかみの情報に一喜一憂するのではなく、まず信じないという選択によって
そこから自分の頭で考えてみる。

(P172)


結論は、まっとうな価値観を持つことだ。人間が生きることに関して、その
延長線上に社会がどうあるべきなのかを見出すことだ。
人間が考えるべきことなんて最終的にひとつしかない。
自分の人生とどう向き合うのかだ。今生きている人間にとって一番大切なのは、
死生観であり、もっと言えば、死とどう向き合うかだけだ。

(P173)




コミュニケーション=考え方




私たちは、日々の出来事について、また自分自身についてどれだけ考えを
もっているだろうか。本書はその問いかけでもある。



その他、本書は押井氏のクリエイティブに関する考えや、宮崎駿との
スタンスの違いなども述べている。物作りに興味がある人にも一読を勧めたい。







この本を読んで、ひとつ後悔したことがある。それは、
あのエッセイを書く前に、この本を読むべきだった…という後悔だ。
私が書こうとしたこと、そのほとんどがすでに押井氏の著作に記されているのだ。。。


…悔しい

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黒 紅 茶

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ブログタイトルの“Of”は
飾りです。偉い人にはそれが
分からないのです(苦笑)
詳しくは「はじめに」を
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