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「さまよう刃」

東野圭吾の「さまよう刃」を読み終えた。それについて述べる。
この作品も、「八日目の蝉」のように映画化された。
メディアミックスの一環だとは思うが、どうも最近の映画は原作ものに
頼り過ぎているのではないか、と思えてならない。

さて、そんなことはどうでもいいとして、さっそく紹介に入りたい。





あらすじ:

半導体メーカーで働いてきた長峰重樹。そのたったひとりの家族であり、
中学生の娘である絵摩が全裸死体として発見された。輪姦された揚句の死。
悲しみと怒りで震える長峰。そんな彼に何者かから密告の電話がかかった。
密告者によれば、彼の娘を死に至らしめたのはトモザキアツヤとスガノカイジという
人間で、トモザキという男の住所は足立区にあることが判明した。何の手がかりもない
長峰は、密告者の電話内容を信じ、足立区のとあるアパートへ向かう。
密告者の正体は、犯行を行ったトモザキとスガノの友人である中井誠であった。
彼は死んだ長峰の娘の携帯を隠し持っていた。恐怖と不安で苦しんでいた彼は、
警察ではなく、長峰に密告の電話を行ったのである。電話通り、
そこはトモザキの自宅で、中には彼らがレイプした女性を撮影したテープが沢山あった。
侵入した長峰は、娘の最後の姿がうつされたテープを見る。殺意を募らせていく彼の前に、
住人である伴崎敦也(トモザキアツヤ)がその姿をあらわした。
殺意の塊となった長峰は、台所にあった包丁を手にし伴崎を惨殺する。
伴崎の死ぬ間際の言葉から、共犯である菅野快児(スガノカイジ)が
長野県のペンションに潜伏していることを知った長峰は、警察に
指名手配されることを覚悟の上で復讐のために行動をはじめる。

長峰は捜査を撹乱するために、愛知県から東京の警察に手紙を送る。その手紙を見た
刑事は困惑する。手紙には、犯罪者を擁護し被害者の救済を怠る司法への不満や、
娘を殺した未成年たちへの憎悪が冷静に書きこまれていた。若手刑事であった織部は、
長峰の行動が犯罪であることを理解しながらも、一方で同情を禁じ得ず、苦悩していた。
やがて長峰の出した手紙はマスコミに漏れ、警察はその対応を迫られることとなる。

長峰がはじめた復讐劇は、あらゆる人々を巻き込み、メディアの注目の的となった。
伴崎と菅野がこれまで起こした性犯罪の数々が明るみになるにつれ、報道は過剰なものと
なっていく。そんななか、ひとりの中年男性が警察にやってきた。男の名前は鮎川。
彼の娘はある日突然、首を吊って死んだらしい。鮎川は、娘の死が、長峰の娘が殺された
事件と関係しているのではないか、と考えていた。そして、その予感は的中した。
死亡した伴崎の部屋から押収したテープの中に、鮎川の娘が強姦されている映像が
あったのだ。犯人への憎悪を募らせていく鮎川のもとに、週刊誌の記者があらわれる。
マスコミは、事件の粗探しを行っていたのだ。鮎川はマスコミにいいように利用される。
そんな彼は、あるルートを通じて犯人の友人である中井誠と接触することになる。

一方、長野入りした長峰は、偽名をつかってとあるペンションに潜伏していた。そこの
従業員である丹沢和佳子は、事故で幼い子供を失った経験を持つ女性で、彼女と同じく
子供を失った長峰は、和佳子に対して親近感をおぼえる。ほどなくして和佳子は長峰の
正体を知るが、彼女はなんと長峰による菅野探しに協力を申し出る。彼女は、菅野に
謝罪させようと思っていたのだ。菅野が潜伏しているであろうペンションを調査する
二人。だが、捜査の手は長野に迫っていた。

警察、マスコミ、鮎川らによって精神的に追い詰められていく中井は、ふとしたことから
菅野が女性を強姦するために長野の廃ペンションを訪れたことを思い出し、そのことを
長峰の娘の携帯を通じて長峰に密告する。長峰は菅野が潜伏しているとされる建物を
特定するが、すでに警察が待ち受けていた。警察は押収したテープの映像を手がかりにして、
長野の廃ペンションをあたっていたのだ。だが、菅野は逃亡してしまう。

手がかりを失った長峰。彼は菅野が更生しないこと、仮に警察につかまっても少年法に
よって守られ、やがては社会復帰することを知っていた。長峰の、菅野に対する憎悪の念は
おさまることはない。そんな彼に対し、和佳子は自首を勧める。自首をすることで、
司法に対して訴えることが出来るのではないか、と考えていた。和佳子の言葉に心動かされ、
自首を決心する長峰。そのとき、再び密告電話が鳴り響く。菅野が中井に会うために上野駅に
あらわれるというのだ。長峰は和佳子をだまし、ひとりで上野駅へと向かう。

上野駅では警察の監視の下、中井が菅野を待っていた。菅野は中井に金銭を要求する。
そんな二人の前に、なんと鮎川が包丁を持って現れた。突然の出来事に捜査陣は混乱し、
菅野は女子中学生を人質にとって抵抗を試みる。そこへ長峰があらわれる。
娘の仇を前に、用意したライフルをかまえる長峰。だが、駆け付けた和佳子の声に動揺し、
引き金を引き損ねてしまう。刑事でありながら長峰に同情していた織部は、隙をついて
長峰を射殺する。菅野と中井、そして鮎川は警察に身柄を確保される。

事件は終了したが、織部ら捜査陣の心は晴れることはなかった……。







本作はあらすじ通り、最愛の娘を失った父親の復讐劇を描いた物語である。
愛する人を奪われた人間の怒り、犯罪者である未成年を保護する少年法への矛盾、
事件を面白おかしく報じるマスコミ、情に心を動かされ悩み苦しむ警察、
さまざまなドラマが凝縮されていて、とても読み応えある作品だ。
ページ数が多いにもかかわらず、分量や時間の経過を忘れられるほど夢中になって
読むことが出来る。しかし、内容は重い。


物語でクローズアップされる少年法。
少年法に守られた未成年に下される罰は、通常の成人の犯罪者に比べて軽い。
また、氏名を公表されることはない。なぜ、そのように取り決めされているのか。
そのことについて、ここで詳しく取り上げることもないだろう。
少年法は、物語でも描かれているように、犯罪の加害者たる未成年に対して寛容で、
その保護を目的としている。犯罪被害者の感情が考慮されることはない。
どんな凶悪犯も、未成年ならばいつかは社会復帰するのである。
いわゆるコンクリート殺人事件や、神戸連続児童殺傷事件を起こした犯人も、
私たちが暮らす社会に復帰しているのである。未成年犯罪者が更生したか否かを
推し量る術はなにひとつない。機械的に、出てくるだけである。

損得という言葉をもちいりたくはないが、
被害者(または遺族)は泣き寝入りするしかないのである。

犯罪という、人の道を外れたことを起こした人間に対し、チャンスを与えるべきかも
しれない。だが、すべての人間が更生するわけではないのだ。何度も何度も、クセのように
罪を重ねる人間も存在するのだ。そういう者に対し、法は無力である。


物語の主人公である長峰も、はじめは無力な人間であった。だが、それが
いつしか復讐の鬼として行動を始める。彼を取り締まるべき警察も、心の内では
彼に同情し、できれば復讐を果たしてほしいと願うまでになる。

公人として職務に従うか、それとも私人としての感情で長峰に応じるか……。
若き刑事織部は苦しむ。彼も物語の主人公のひとりである。彼は体制側の人間なのだ。
彼が裁かれることはない。彼は裁く側の人間だ。だが、彼は長峰を裁くべきか悩む。
彼は機械ではなく、人間なのだ。だから、悩み苦しみ、最後には長峰を射殺してしまう。



長峰は復讐を遂げられることなく死んだ。警察に逮捕された菅野は、いずれ
社会復帰するだろう。物語を読んで思うに、刑務所を出た彼が更生する可能性は少ない
だろうと思う。第二・第三の、長峰の娘を生むかもしれないのだ。もし、そうならば、
少年法とはいったい何のための法律なのだろうか……。




とても後味の悪い物語である。仮に長峰が復讐を遂げたとしても、
誰も救われることはない。だが、“救い”という言葉は使うが、はたして
何が救いになるかと問われると、返す言葉は見つからない。


「八日目の蟬」は希望あるラストで終わりを告げた。
だが、本作にはそのようなものはない。あるのは切なさや哀しさといったものである。
この物語の重さに、耐えることはとても難しい。

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黒 紅 茶

Author:黒 紅 茶
どこかの田舎っぺです。
ブログタイトルの“Of”は
飾りです。偉い人にはそれが
分からないのです(苦笑)
詳しくは「はじめに」を
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