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「道」

イタリア映画界の巨匠とされるフェデリコ・フェリーニの
「道」という映画を見た。音楽はニーノ・ロータ。
二人はたびたびコンビを組んだそうである。


さて、あらすじについて触れたい。





あらすじ:

旅芸人ザンパノは、助手であるローラが死んだために、その家族がいる
貧しい家に報告に向かう。そこでザンパノは、新しい助手として白痴の
少女ジェルソミーナを引き取ることになる。
乱暴者であるザンパノは、思い通りに動かないジェルソミーナに対して
たびたび暴力をふるう。その日々に嫌気がさした彼女は逃げ出すも、すぐに
見つかり、連れ戻されてしまう。

二人はローマのサーカス小屋に身を寄せることとなった。そこで
ザンパノは知り合いの芸人イル・マット(訳:狂人)という男と会う。
イル・マットは芸を行うザンパノをからかい、恥をかかせてしまう。
翌日、ザンパノのいないサーカス小屋で、ジェルソミーナはイル・マットから
ラッパの吹き方を教わることとなる。これまで彼女はザンパノに何度も吹き方を
教わりたがっていたが、なぜかザンパノは教えようとしなかった。イル・マットの
教授によってラッパを吹けるようになった彼女の前に、出かけていたザンパノが
戻ってきた。イル・マットへの怒りが爆発した彼は、ナイフを取り出し襲いかかる。
警察沙汰に発展し、ザンパノは留置所に一日入れられることとなる。
サーカス一座は別の場所へ移動することとなる。ジェルソミーナも一座の人間から
誘われるが、ひとり残った。

夜になって、ジェルソミーナの前にイル・マットがひょっこりあらわれる。
彼はジェルソミーナにいくつか助言を与え、さらに彼女をザンパノが拘置されている
警察署へと送る。警察署の前で別れる二人。翌日、解放されたザンパノはジェルソミーナと
ともに町を経ち、別の町をめざす。

旅を続けるジェルソミーナとザンパノ。
ある日、三輪トラックで移動中の二人は、道を塞ぐ車に足止めを食らう。その運転手は
なんとイル・マットであった。彼は故障した車を修理している最中だった。恨みを
忘れられないザンパノはイル・マットに殴りかかる。打ちどころが悪かったイル・マットは
死んでしまう。警察に捕まることを恐れたザンパノは、遺体を隠し、逃走する。

イル・マットの死によって放心状態となったジェルソミーナは芸をしなくなった。
会話をしようにもうまく成立しないありさまで、嫌気がさしたザンパノはあるとき、
外で昼寝をしていたジェルソミーナを置き去りにして逃げてしまう。

それから時が過ぎた。
興行である町にやってきたザンパノは、なつかしいメロディを耳にする。それは
ジェルソミーナが吹いていたラッパのメロディであった。メロディを口ずさむ女性によれば、
メロディは4、5年前に町にやってきた白痴の女の吹くラッパをまねたものであるという。
その女とはまさしくジェルソミーナであった。しかし、彼女はすでに病によって死んでいた。

ジェルソミーナの死に衝撃を隠せないザンパノは、酒場でやけ酒を飲んで追い出される。
辿り着いた場所はジェルソミーナが放浪したとされる海岸であった。
誰もいない海岸で嗚咽をもらすザンパノ……。












物語はいたって単純明快である。それゆえに、各登場人物の
感情がストレートに伝わってくる。




物語冒頭において、旅に出るジェルソミーナを涙ながらに見送る母親。
その涙はどう見ても“うれし涙”である。白痴である娘を厄介払いしたと
同時にお金を得ることができたのだ。だが、ジェルソミーナにはそれが分からない。
(分かるのは映画をみる観客だけである)
ジェルソミーナにあるのは、ただ“外の世界へのあこがれ”だけであった。
彼女には、自分が金で売られた奴隷同然の存在という自覚が存在しないのである。

彼女を買い取り、芸の助手役としたザンパノは、ときに暴力をふるって彼女を
こき使う。それは至極当然のことである。だが、一方でザンパノには隠された感情が
あった。それは中盤でイル・マットが指摘している。

ザンパノはジェルソミーナが好きなのである。

けれども、その感情が表に出ることはない。
無意識下にあるかもしれないし、自ら隠しているのかもしれない。
どちらにしても、ザンパノには彼女に対して複雑な感情があるのだ。だから彼は
逃げ出したジェルソミーナを連れ戻したりしたのだ。


ザンパノの怒りを買い、殺された芸人であるイル・マット。
(劇中ではまったく名前を呼ばれないが、DVDの特典には名称が記載されている)
彼は自分が長く生きられないことを悟っていた。病持ちというわけではない。彼は
自らの職業が危険であることを自覚していたのだ。その一方で、自分の口が災いを
生み出すことには無自覚であった。どこか浮世離れした人物である彼は、
(観客にとっても疑問であった)ジェルソーナの内面に入ろうとする。

心を開いたジェルソミーナが語りだしたものは、彼女の孤独感である。
彼女は疎外された人間なのだ。彼女はザンパノが好きではないが、かといって
他に居場所はなかった。ある意味、消去法的な選択によってザンパノといるのだ。

イル・マットはそんな彼女に言う。ザンパノはジェルソミーナのことが好きなのだ、と。
それはジェルソミーナの心に光を与えることになる。彼女はザンパノと一緒にいることに
ついての必然性を得たのである。


しかし、彼女はイル・マットの死によって放心状態に陥る。
イル・マットはジェルソミーナとザンパノの心を繋ぐ存在であった。その存在をザンパノは
死に至らしめたのである。もちろん、彼にはイル・マットがもたらした効能なぞ知る由もない。

ゆえに、ジェルソミーナが口走るひとり言の意味が理解できないのだ。
そして嫌気がさして、彼女を捨てて何処へと去っていってしまう。
彼はこわれたおもちゃをゴミ箱に入れるように、ジェルソミーナを捨てたのである。

長い月日が経過し、ジェルソミーナの死を知ったことによって、ザンパノは
自分が捨てたものがおもちゃではなかったことを知るが、時すでに遅し。
彼には泣くほかなかった――この最後の場面は、田山花袋が書いた「蒲団」を思い起こさせる。





大切なものというのはなかなか目に見えない。
失ったときに気付いても、遅いのである。
その喪失感は計り知れない。
夜の砂浜で嗚咽を漏らし、打ちひしがれるザンパノは、喪失感を胸に生きてゆかねばならないのだ。










本作はネオレアリズモの手法で作られた映画だ。

平凡な容貌に知恵遅れの性格を持つジェルソミーナ。
そのキャラクターは映画という媒体には不似合いである。
(白痴=知恵遅れの設定は下手をすれば人種差別に繋がるグレーな要素である)
だが、彼女がときおり見せる笑顔には愛嬌が感じられる。
そして夜の砂浜の場面で彼女の面影を、観客はザンパノと同じく
思い起こすことになる――あの愛嬌のあるまん丸い笑顔を……。

もし、この映画のヒロインがジュリエッタ・マシーナではなく、
マリリン・モンローやヴィヴィアン・リーのような美女が演じていたならば、
砂浜で味わったザンパノの喪失感を観客が味わう事はなかっただろうと思う。





美人ではないがゆえに忘れられない顔なのだ。










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No title

フィギュアスケートの高橋大輔選手がこの映画の曲を使用していたので、前から気になってはいたんですが、まだ見たことがありませんでした。
案外重たい話なんですね。
いつか見てみたいです。

Re: No title

うみどらねこさん、コメントありがとうございます。

たぶん、ツタヤに行けばあるとおもうので、
よかったらぜひ借りてみてください♪

No title

いやー懐かしいなあ・・・高校の頃知人が入っていた「キネ旬友の会」という映画のサークルがありまして、そこでマラソン上映会があるというのに呼ばれて会場だったマンションの一室に行ったときに見ました。

当時はビデオじゃなくて16ミリフィルムをレンタルしてきて映写機でやってたんですが、夜7時からスタートして5~6本立てで「道」は0時くらいからだったんですけど寝るかもしれないという心配をよそに最後まで見られましたねー。

たぶんイタリア映画なんて殆ど初めて見たようなもんでしたけど、案外いけるなって思ったことを思い出します。

Re: No title

しろくろshowさん、コメントありがとうございます。

マラソン上映会ですか……いいですね、そういうのも♪

私の大学にも映画研究部っていうサークルがあったんですが、
諸般の事情で解散となった思い出があります(泣)

プロフィール

黒 紅 茶

Author:黒 紅 茶
どこかの田舎っぺです。
ブログタイトルの“Of”は
飾りです。偉い人にはそれが
分からないのです(苦笑)
詳しくは「はじめに」を
読んでくださいな。

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