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「気狂いピエロ」

「勝手にしやがれ」に続いて、ゴダールの「気狂いピエロ」を見た。
んで、それについて感想めいたものをいつものように記したい。




あらすじ:

金持ちの女性と結婚し家庭を築いたフェルディナンは、冷めた夫婦生活に
嫌気がさしていた。テレビ局の仕事を辞めた彼は、妻とパーティに参加。
しかし途中でつまらなくなって家に帰ってしまう。そこで彼はかつての
恋人であるマリアンヌという女性と再会を果たす。マリアンヌはフェルディナンの
知り合いであるフランクの姪としてフェルディナンの家で留守番をしていたが、
その実はフランクの愛人のようであった。フェルディナンは彼女をアパートに
送り、そこで一夜をともにする。翌日目を覚ますと、部屋には知らない男の
死体があった。フェルディナンはわけをマリアンヌに聞こうとするが、あとで
説明すると言って語ろうとはしない。困惑するうちにフランクが帰って来た。
マリアンヌとフェルディナンはフランクを殺害する。マリアンヌの話によると
フランクは闇組織の一員で、武器の密売をしていたという。二人はあてのない旅に出る。
フェルディナンは裕福且つ退屈な暮らしを捨てたのである。

強盗、殺人、詐欺――あらゆる犯罪に手を染めながら逃避行を続ける二人。
マリアンヌは南フランスにいる兄に会えば問題が解決すると語る。しかし、警察の
警備網や金銭的事情などから逃亡はしだいに難しくなる。また、フェルディナンは
マリアンヌと一緒にいることに充実感をおぼえ、逃亡することよりも偶然辿り着いた
海岸で本を読み日記を書くことに意義を見出すようになっていた。海岸での生活に
嫌気がさしたマリアンヌ。彼女は自由を欲しがっていた。フェルディナンは彼女と
新たな場所へ移動することにした。

新天地で二人はギャングらしい小人の男と出会う。マリアンヌは男と交渉のために
ホテルへと向かう。マリアンヌから連絡を受けたフェルディナンがホテルの一室に向かうと、
そこにはマリアンヌの姿はなく、小人の男の死体があった。ほどなくして男の仲間と
思われるギャングたちがあらわれ、マリアンヌの居所を吐くようフェルディナンに拷問を
かける。当然マリアンヌの居場所など知らないフェルディナン。ギャングらによると、
マリアンヌは闇組織の人間を殺害した上に五万ドルもの大金を持ち逃げしたという。
ギャングから解放されたフェルディナン。

フェルディナンはマリアンヌを諦め、港で小遣い稼ぎをするようになった。そこへ
あらわれたマリアンヌ。彼女は兄と会い、兄と危ない仕事をこれから行おうという。
そのために彼女はフェルディナンの協力を求めた。彼女への愛情をいまだにもつ
フェルディナンは、マリアンヌの兄とされる男の組織の仕事に協力する。だが、
男は彼女の兄ではなく密輸団のボスに過ぎなかった。フェルディナンはふたりに
裏切られ、またもや取り残されてしまう。

船でとある島に逃げたマリアンヌと密輸団のボス。フェルディナンは二人を追う。
拳銃をもつフェルディナンは、島で愛するマリアンヌと密輸団のボスを射殺する。
悲しみと絶望とがフェルディナンの感情を支配する。生きる意義を失った彼は
自暴自棄になり、顔を青いペンキで塗りたぐり、小屋で見つけたダイナマイトを
顔に巻き付け、導火線に火をつける。我に返ったフェルディナンはあわてて火を
消そうとするが間に合わず、爆死してしまう……。














と、一応あらすじをまとめていたが、適切かは保証しかねる。


というのも、本作の物語や登場人物の関係がとても分かりにくいからだ。
なので、このあらすじにはブログ管理人たる私の飛躍も若干含まれる。

ブルーレイの解説にも記載されていたが、本作は脚本というものが存在せず、
監督であるジャン=リュック・ゴダールによる即興演出によってすべてのシークエンスが
できあがっているという
。したがって、「勝手にしやがれ」と比較してみると、
物語の流れが荒く雑にも感じられる。しかし、登場人物の台詞はとても魅力的であり、
一秒たりとも見逃すことはできない。。。





ジャン=ポール・ベルモンド演じるフェルディナンは、安定のある暮らしをこれまで
送ってきた。それが、アンナ・カリーナ演じるかつての恋人・マリアンヌとの
再会で一変する。彼は情事(アヴァンチュール)に身をゆだね、非日常ともいえる
逃避行の旅に出る。

フェルディナンを旅へ誘うマリアンヌは、「ルパン三世」でいう峰不二子のような
謎の美女である。二人が一夜を過ごした部屋にはライフルと死体。しかし、その
ふたつについては詳細に語られることがない。マリアンヌのセリフによって明らかと
なったことは、彼女と愛人関係にあったとされる男(フランク?)が闇組織の一員として
武器の密売を行っていたということである。なぜ、死体があるのか(たぶん、彼女が殺した)
どうしてマリアンヌが組織のお金を奪ったのかということは一切分からない。

また、分かる必要はない。

物語において重要なのは、フェルディナンとマリアンヌが“愛”という不確かな概念で
繋がり、逃避行を続けていることのみである。
(フェルディナンが考える愛と、マリアンヌの愛の違いがまた面白い)


そこには他の映画や文学作品で見られるような論理性は不要である。
観客はただ感性のみで物語を追う事になるのだ。





そして、それを裏付けるかのように、劇中でフェルディナンはカメラに向かって
次のような独白を行っている。




深く理解する必要はない

人間は夢で出来てる

夢は人間で出来てる

人生は美しい

夢 言葉 そして死

どの世界でも

愛する人よ

人生は美しいものだ




物語を読み解く上で重要な台詞ではあるものの、物語の流れそのものには
一切関係のないものである。しかも、これは俗にいう“第四の壁”を
破り、観客に向けた語りかける独白である。
この独白前にも、何度も観客に向けて登場人物が語りかけるところはあるが、この
独白が語られる場面がいちばん長いものであった。






(家庭生活が惰性であるならば、)惰性から解放されたフェルディナンは
海岸での生活に充実感をおぼえていた。愛する女性との日々、文学的なものへの目覚め、
そして説明のつかない解放感……。 それらが上記に引用した独白を発現させたのである。


フェルディナンという名前を持つにもかかわらず、彼を“ピエロ”と呼ぶマリアンヌ。


フェルディナンに自由を与えたはずのマリアンヌは、そんな
フェルディナンとの日々に嫌気がさしていた。海岸に定住しはじめたことによって、
それまでの自由が失われたからである。彼女は常に自由でいたかった。彼、フェルディナンを
愛してはいたが、彼に束縛されたくはなかった。だから、彼女はやがて彼を裏切る。
それはひとえに“愛ゆえ”の行動と捉えることができる。銃弾を受けた彼女の死ぬ間際の
謝罪の言葉からでも、そう解釈が可能である。





充実したフェルディナン。
だが、傍から見れば、彼は阿呆であり馬鹿である。
彼には、マリアンヌと逃走した時点から破滅が運命づけられてはいたが、それから
逃れられるチャンスがゼロというわけではなかった。にもかかわらず、彼は破滅への
道をひたすら突き進んでいったのである。


そして、彼の最期の台詞である。
彼は自らを「馬鹿」と評す。彼は顔面に巻いたダイナマイトの導火線に火をつけるが、
慌てて消し止めようとする。恐らく、彼は女のために絶望し、死ぬことを馬鹿らしく
思ったのだろう。だが、遅すぎたわけだ。


意味のない死。ダイナマイトを巻くことの意義の不明瞭さ……。




彼の死の場面の台詞がよくわからなかったが、ブルーレイの特典映像によると、
この場面をはじめとする複数の箇所において、「勝手にしやがれ」からのセルフオマージュが
存在するという。

「勝手にしやがれ」では、ベルモンド演じるミシェルが自らを「馬鹿」と呼ぶところから
スタートする。「気狂いピエロ」のラストシーンはそれとリンクするというのである。
(ちなみにどちらも主演俳優が同じである!!!)




フェルディナンの行動も、マリアンヌの行動も、なんとなく感覚としては受け入れられるが、
理屈としてはとても考えにくいものである――それが生の人間というものだろうか???









意味があるような、まったくないような――不安定で詩的な台詞。
同様のシークエンスの数々。。。



それらを生み出したゴダールと、ヒロインを演じたアンナ・カリーナは
短い期間ではあったが夫婦の関係にあった。


特典映像の解説によると、この映画は二人の関係を反映したものでもあるという。





カトリーヌ・ドヌーヴは聖女的であるのに対し、
アンナ・カリーナは小悪魔的である。それはたんに映画の演出のせいだけではない、
カリーナから感じられるアウラが私にそう解釈させるのだ。



カレーナはまさにファム・ファタールと呼ぶにふさわしいキャラクター・マリアンヌを
演じてみせた。マリアンヌのとった行動の数々は理解しがたい。だが、そこに魅力を
感じずにはいられないのである。複雑だ。





本作は二人の男女の破滅の物語である。

破滅という言葉は暗く、悲しい。

にもかかわらず、そう感じさせない物語であった。







次回は、「軽蔑」について触れたいとおもう。

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ブログタイトルの“Of”は
飾りです。偉い人にはそれが
分からないのです(苦笑)
詳しくは「はじめに」を
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