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「嵐が丘」

シェイクスピア作品の紹介はやめて、東京への就活中に読んだ本について
紹介してみたいと思う。これから紹介する作品は「嵐が丘」。著者は
エミリー・ブロンテ。姉は「ジェイン・エア」を書いたシャーロット・ブロンテ。
「ジェイン・エア」と同じくらい、文庫本なのに重く分厚い物語のあらすじを
何とか記してみたいと思う。




あらすじ:

ヨークシャーの荒野。ロンドン暮らしの若い紳士ロックウッドは「スラッシュクロス」という
屋敷を借りて移り住むことになった。彼は屋敷の大家であるヒースクリフが住む「嵐が丘」と
いう屋敷へと足を運ぶ。そこにはヒースクリフのほかに、未亡人のキャサリン、粗野な若者
ヘアトンらが住んでいた。だが、家の中の関係はとても冷え込み、他所者であるロックウッドには
とても奇妙なものであった。彼はネリーという女中と知り合い、彼女から「嵐が丘」の住人たちが
繰り広げた数奇な運命を聞くことになる。

昔、嵐が丘はアーンショーという一家が住んでいた。アーンショー家には長男の
ヒンドリーと長女のキャサリンという二人の子供がいた。家長である老アーンショーは
旅先で孤児をひろう。孤児の名前はヒースクリフ。老アーンショーは彼を気に入り、
自分の息子同然に育てる。キャサリンはヒースクリフと打ち解けるが、ヒンドリーは
家族の愛情を奪われたと思い嫉妬の念を抱くようになる。老アーンショーが死に家督を
継いだヒンドリーはフランセスという女性と結婚して「嵐が丘」に戻る。彼は憎き
ヒースクリフを虐待し、彼から教育を奪う。キャサリンを愛するヒースクリフはその
虐待に耐えるが、彼の感情を知るヒンドリーは、キャサリンを旧家リントン家の長男の
エドガーと結婚させようとする。キャサリンはエドガーと結婚を決意する。それは
ヒースクリフを養うためのものでもあったが、キャサリンの結婚を知ったヒースクリフは
絶望し、「嵐が丘」から出て行き消息不明となる。

三年後。旅先で財を得たヒースクリフは「嵐が丘」に戻った。屋敷の主であるヒンドリーは
妻を失ったために精神が不安定で病弱な状態であった。そんな彼にヒースクリフは賭博を
仕掛け、賭博の勝利の代償として「嵐が丘」の権利とヒンドリーの財産を手に入れる。
さらに彼はヒンドリーの一人息子であるヘアトンを自分の都合のいいように教育し始める。
ヒースクリフの帰還にキャサリンは喜ぶが、やがて彼の深い復讐心を知るや、密会に
精神を摩耗していく。リントン家のエドガーは妻とヒースクリフの関係を快く思わないが、
彼の怪力と富の前にろくな対処ができなかった。そんな折、エドガーの妹イザベラが
なんとヒースクリフに恋をする。エドガーとキャサリンはヒースクリフの悪しき面を語り、
恋が幻想であることを教え諭そうとするも、イザベラは聞き耳を持たない。やがてイザベラは
ヒースクリフと駆け落ちを果たすが、彼女を待っていたのは愛のない冷たい生活であった。
「嵐が丘」の主となったヒースクリフはエドガーを苦しめるためにイザベラを奪ったのだ。

ヒースクリフとエドガー、二人の男性との関係に板挟みとなったキャサリンはついに発狂。
エドガーは妻と療養生活に入るが、ヒースクリフは自分と結ばれればキャサリンの精神が
回復すると信じ、強引な手段を用いてキャサリンと密会しようとしていた。キャサリンの
精神は完全に回復できなくなり、彼女は子供を産んだ後に亡くなってしまう。愛する女性の
死に嘆くヒースクリフ。そんな彼をイザベラは罵る。彼女はヒースクリフの存在がキャサリンを
死に至らしめたと叫ぶのだ。その言葉を聞いたヒースクリフは激昂し、イザベラを屋敷から追い出す。
イザベラは兄エドガーのいる「スラッシュクロス」で生活する。

キャサリンが死の代償に生んだ娘の名前は母と同じくキャサリン。キャシーの愛称で呼ばれる
彼女の遊び相手は、イザベラの子供であるリントンだった。リントンはヒースクリフとの間に
生まれた子供で、リントンとキャシーはエドガーの庇護の下育っていった。ところが十三年後、
イザベラが病で死ぬとヒースクリフが「スラッシュクロス」の館に現れ、リントンを
引き取ってしまう。エドガーや屋敷の住人たちには為すすべもなく、ただ指をくわえて
見るほかなかった。

リントンが連れ去られてから三年後。キャシーは成長したリントンと再会する。だが、それは
ヒースクリフの陰謀だった。ヒースクリフはさらなる復讐のためにキャシーとリントンの二人を
結婚させようと密かに画策していた。キャシーはリントンと文通を重ね、ときどき二人で会うように
なる。そのたびに彼女はリントンの屈折した性格を知るようになる。またリントンは病弱なために
成人まで生きられない運命にあった。リントンに対して複雑な心情を抱くようになるキャシー。
そんなキャシーに密かに恋心を抱くヘアトンであったが、リントンとヒースクリフによって
たびたび虐待されていた。ヒースクリフにとって、ヘアトンも復讐の対象だったのだ。

ついに彼女はヒースクリフの姦計によって「嵐が丘」に連れ去られ、無理やりリントンと結婚を
することになってしまう。彼女の心の支えであったエドガーも病によって亡くなり、キャシーは
「嵐が丘」で暮らすことになる。だが、ほどなくしてリントンも病死し、キャシーは早くも
未亡人になってしまう。だが、屋敷で暮らす限り彼女には再婚の見込みがなかった。
「嵐が丘」のみならず「スラッシュクロス」とその財産までも手にしたヒースクリフ。

青年ロックウッドは「嵐が丘」をめぐる運命の物語に興奮するも、田舎屋敷での生活に
やがて退屈し、一年間の契約期間を待たずして屋敷から出て行く。数カ月後、たまたま
ヨークシャーを通ることとなったロックウッドは、「嵐が丘」とその住人を訪ねる。
すると状況は何もかも一変していた。すべてはヒースクリフの死によって起きた変化であった。

「嵐が丘」と「スラッシュクロス」を手に入れたヒースクリフであったが、彼の心は
満たされなかった。彼はヘアトンとキャシーの姿に、若い頃の自分とキャサリンの姿を
重ねるようになる。さらにキャサリンの幻覚を見るように至り、やがて発狂する。
生きる意味を失ったヒースクリフは断食のすえに死亡する。残ったキャシーとヘアトンは
やがて結ばれていく……。










重厚な愛と憎しみのドラマ。
本作の主人公であるヒースクリフは、「ジェイン・エア」のジェインと同じような境遇で
ありながら、迎える顛末は天と地ほどに離れている。


過酷な境遇の中でも慈愛の精神を持ち、幸せを勝ち取ったジェイン。

愛する人への愛情によって悪の精神を宿し、
復讐鬼となってやがては自滅していくヒースクリフ。




キャサリンの死までが描かれるのが第一部とするならば、
彼女と同じ名前を持つ娘キャサリン(キャシー)の物語を第二部と定義したうえで
物語を読み解いていきたい。

孤児であるヒースクリフは、老アーンショーによって「嵐が丘」に連れて来られ、
そこで生活していく。それまでの彼の生活がどのようなものであったかは説明されない。
ただ、彼の到着によって愛憎のドラマが始まることはたしかだ。老アーンショーの子供
ヒンドリーとキャサリンは、いわば典型的なお金持ちの息子娘である。何不自由なく
育った二人の性格には傲慢さがある。親の愛を独占するヒースクリフを激しく憎む
ヒンドリーは親の死後ヒースクリフを虐待していく。彼は自分が上の立場の人間であるという
優越感を味わいたいのであろう。ヒースクリフはその犠牲なのだ。ヒンドリーとヒースクリフに
対し、キャサリンはどこか能天気なようにも思える。ある意味では彼女も災いの種であるのだ。

ヒースクリフにとって過酷な生活の中での救いはキャサリンの存在であった。ところが
キャサリンは旧家の青年と結婚をしてしまう。その彼女の動機は実に不純なものであった。
(詳しくは本編の描写を読んでいただきたいと思うが)彼女は自分がエドガーと結婚すれば、
ヒースクリフを養いこれまで通りの生活ができると勝手に考えていたのだ。そこには
現実的打算がある――つまり、ヒースクリフと結婚したところで将来の見通しが立たないという
ことがあるのだ。ヒースクリフは孤児であり、財政的基盤はなかった。一方のエドガーは
旧家の人間であり、十分な財力があった。ロマンスにおいて金目当ての結婚というものほど
醜いものはない。だが、現実の世界では財産がなければ満足な生活などできはしないのだ。
その意味でキャサリンの選択というものは正しいと思う。だが現実的正しさと倫理とが
一致することはなかなかない。ヒースクリフはキャサリンが自分を裏切ったことに絶望する。
絶望はやがて壮大な復讐劇の導火線となった。

彼が憎むべきはヒンドリーの「嵐が丘」と、エドガーの「スラッシュクロス」。
この二人さえいなければキャサリンと結ばれるというのがヒースクリフの考えであった。
彼は復讐の手始めとして「嵐が丘」を手中に収める。そしてキャサリンと密会を果たす。
本心ではヒースクリフを愛するキャサリンは彼と密会を重ねるが、やがて精神不安に陥る。
彼女は今の家庭も大切にしたいのだ。いくらヒースクリフが財産を獲得したといっても、
キャサリンには“不倫”という行為はとても辛いものなのだ。

ヒースクリフの目的はキャサリンを手にすることであった。そのために財力を手にし、
「嵐が丘」をも得るが、彼の愛情は大切な女性を死に追いやってしまう。



あたしの不幸はヒンドリーがあたしとヒースクリフを
いっしょにさせなくなったときから始まったの。

(新潮文庫版:P211)



追い求めた末の喪失――それはとても不条理な展開である。だが、ある意味では当然の帰結といえる。
彼は愛を手に入れるためのさまざまな悪行に手を染めたからだ。ヒンドリーとその子供である
ヘアトンを虐待し、エドガーを苦しませるためにイザベラと結婚したその行動は、悪行と
言わずしてなんといえようか? それまでの間彼が送っていた残酷な日々を思っても、
やりすぎといえる。そのやりすぎが愛する人の精神までも破壊したのだから、あまりに救いがない。


ここで物語が終われば、ヒースクリフの悲しみの物語として幕を閉じるのであるが、
作者はここからヒースクリフの悪行とそれに苦しめられる人々をどんどん描いていく。
第二部の主人公はキャサリンの忘れ形見、キャサリン・リントン。

ヒースクリフは復讐を完遂するための計画を練る。それは、キャシーと自分の息子である
リントン・ヒースクリフを結婚させることだ。ここには三つの意義が見られる。


ひとつは、キャシーとリントンの結婚によってエドガーに精神的打撃が与えられること。
エドガーにとってキャシーは妻との結婚生活の象徴であった。彼のすべてであった。
そんな彼にとってヒースクリフも、その子供であるエドガーも脅威以外の何物でもなかった。
だがエドガーは病弱なリントンに同情の念も抱いていた。それは短い間ながらも彼と一緒に
暮らしていた経験が生み出す感情なのだろう。


もうひとつは、結婚によって得られる利益。
キャシーはやがてリントン家の財産を引き継ぐ身なのだ。その彼女を得れば、
すなわち「スラッシュクロス」を手中に収めることになる。彼はエドガーが病で早くに
亡くなると想定していたのだ。はたして予想は現実となる。


そして最後のひとつは、自分に絶望を与えてヒンドリーの息子であるヘアトンへの復讐。
ヘアトンの境遇はまさに第一部序盤におけるヒースクリフの境遇と同じである。
というより、ヒースクリフがそのような境遇を強いたのである。



けれども、ヒースクリフにとって大きな誤算は、
ヘアトンとキャシーが結ばれたことである。

ヒースクリフは二人にも絶望を与えようとし、二人をずっと仲違の関係に追いやっていた。
ところがいつのまにか、二人は仲良くなっていく。
ヘアトンとキャシーの関係は、ヒースクリフとキャサリンの関係の再現なのである。
(それに気づくのは読者だけである!)
そして、ヒースクリフは予期しなかったが、ヘアトンとキャシーは、ヒースクリフの理想を
叶えるのだ。その理想とはもちろん、二人が結ばれることである。
(なぜなら、ヘアトンとキャシーの関係はヒースクリフの少年時代の再現なのだから!)

しかし、ヒースクリフ個人、少なくとも彼の建前は二人の絶望を求めていた。
その建前の願望が破壊されたことで、彼は復讐の意義を見失うのだ。


示唆に留まるが、ヘアトンとキャシーには平穏が訪れる。
この二人が、この物語の最大の救いといえる。長い愛憎の果てに辿り着いたのが
彼らの愛の結実なのだから。






面白い物語であったが、突っ込みどころがないわけでもない。

物語の語り手であるネリー。私には彼女が諸悪の元凶とも思えるのだ。
ただ物語を語るだけで、物語の登場人物そのものには干渉しない。どこか冷めてもいる。
彼女はメイドの域にずっと留まり、登場人物たちを俯瞰するだけで救いの手を差し伸べようと
しないのである。物語の展開上しかたがないといえるが、この冷淡さ、彼女に裁きの
鉄槌が落ちなかったことが謎である(他の人物には残酷な運命がのしかかったのに!!)

また、両家の人間が暴力的手段を用いてヒースクリフに屈しなかったところも
どこかご都合主義的といえる。たしかに彼には富と権力があったが、テロリズムの行使は
十分に行えたはずではないか? (エドガーが召使に命じてヒースクリフを取り押さえようと
する場面もちょこっとだけあったけれども……)

何よりも文章が読みにくい。描写へのこだわりの半端なさには驚くが、メイドによる
物語のリードというせいか、主要登場人物の心の奥底までは賭けていない感じもあるし・・・。


だが、そういう不満点を抜いても良い作品であることは間違いない。
とても長い作品だから読むのにも時間がかかるかもしれないが、機会があればぜひ
一読をお勧めしたい。


てことで今からバイトか、再見。。。

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飾りです。偉い人にはそれが
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詳しくは「はじめに」を
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