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「野良犬」

もうすぐ冬休みが終わる。といっても、そんなもの、
私にゃなかったけれどもね(苦笑)

卒業論文のレイアウトが終わり、あとは製本するだけ。
てことで、気晴らしの映画鑑賞……どれだけ気晴らししてるんだろかな、私ゃ。




さて、紹介する作品は日本映画の巨匠・黒澤明の作品、

「野良犬」


主演は三船敏郎と志村喬。
どちらも昭和期の日本映画を代表する俳優だ。
(んでもって、黒澤映画の常連でもある)



あらすじ:

新米刑事の村上は、射撃訓練の帰りのバスで、あろうことか拳銃を
何者かに盗まれてしまう。盗まれた拳銃はコルト。村上はバスの車内で
見かけた女スリを追跡、彼女から拳銃の密売人に関する情報を得る。
変装した村上は闇市を歩きまわり、やがて密売人の一味と接触し、
喫茶店で会うことになる。喫茶店には一味の女がいた。焦る村上は
女を捕えるが、女と一緒にいた仲間は逃げてしまう。そんな折、
拳銃を使った強盗事件が発生する。
「自分の銃が犯行に使われたかもしれない」と苦悩する村上。
はたして、現場に残った薬莢は村上のコルトのものであった。村上は
辞表を書くが、上司は彼の目の前でそれを破り捨て、強盗事件を追う
敏腕刑事・佐藤と組んで犯人を逮捕するよう命令する。

チャンスを与えられた村上は、密売人一味の女から情報を聞き出すために
留置場へ向かう。が、すでに別の人間が女を尋問していた――敏腕刑事の
佐藤である。佐藤は言葉巧みに、女から密売人の男の名前を聞き出す。
憔悴していた村上は、コルトをスリによって盗まれたことを佐藤に告白するが、
佐藤は後悔よりも犯人を確保することを最優先するよう、村上を諭す。

拳銃の密売人・本多は大の野球ファンであることを知った村上と佐藤は、
球場にて張り込みを行い、本多の確保に成功する。それによって、二人は
強盗事件の犯人――すなわち村上のコルトを持つ者が遊佐であると突き止める。
遊佐の実家やその悪友に聞き込みを行った結果、明らかとなったこと。それは、
復員中に全財産が入ったカバンを盗まれたことで遊佐の性格が歪んだことと、
戦後・東京の貧しい現実であった。湯佐と同じく、復員後にカバンを盗まれた
過去を持つ村上は、遊佐に対して同情の念を抱くも、佐藤はあくまでも湯佐は
犯罪者であり、同情に値しないと断言する。

翌日。
ついに殺人事件が発生する。犠牲者はある家の妻で、犯行に使われたのは
コルトであった。わずか5万円を盗むために行われた強盗殺人に、殺害された
女性の夫は泣き崩れ、村上は姿を見せぬ湯佐に憎悪の念を燃やす。村上と佐藤は、
遊佐の幼馴染で踊り子として働くハルミの元を訪ねる。だが、ハルミは湯佐のことに
対して堅く口を閉ざす。村上は情報を聞き出すために、彼女の家に向かう。一方、
佐藤はタクシー運転手や芸者などに聞き込みを行った末、ついに遊佐が偽名を
使い泊っているホテルに辿り着く。

はじめハルミは遊佐との関係をただの知り合い程度と言っていたが、やがて彼女は
自分が遊佐と親しい間柄であることを白状。さらに事件の原因が貧しさにあり、
社会に責任があると叫ぶ。それに対して村上は、社会のせいにして犯罪を繰り返す
遊佐を断罪する。耐えられなくなり、泣き崩れるハルミ。そのとき、佐藤からの
電話がかかる。電話に出る村上であったが、直後、銃声が響き渡る。

遊佐は佐藤に銃を発砲して逃走、佐藤は重体の身となる。
自分の拳銃が犯罪に何度も使われていることに罪悪感を感じずにはいられない村上は、
肉体的にも精神的にも限界に近づこうとしていた。そんな彼の前にハルミがあらわれる。
ハルミによると、湯佐は朝6時の列車に乗り込み、高跳びしようという。村上は
遊佐のいる駅に向かう。ついに村上と湯佐は対峙する。長い追跡の果てに、村上は
拳銃で腕を撃たれて負傷しながらも、強盗殺人事件の犯人である遊佐を逮捕する。

湯佐を逮捕した村上は拳銃の闇商売を摘発した功績から表彰状を得る。
だが、湯佐と自分との共通する点などから事件に対して責任を感じていた。
そんな村上に、一命をとりとめた佐藤は気にするべきことではないと、優しい言葉をかける……。






公開年は1949年。
いまから64年も前の映画と言うのに、古臭さはそこまで感じられなかった。
むしろ、今の(日本の)映画よりも「面白いのでは?」と思えるほどの出来。
ウィキなどの紹介文によると、今日の刑事ドラマの基礎を作ったそうである。



物語の筋書きそのものは単純。
ピストルをスられた新米刑事がベテラン刑事とともにピストルを追うにつれ、
やがて強盗殺人犯と対峙することとなる・・・。その途中で描かれるのは、
復興途上の東京の光と闇。太平洋戦争を生き残った人間たちの生。

拳銃を盗まれた村上(演:三船敏郎)は、女スリから情報を得るために必死で彼女を
尾行し続け、彼女から犯人探しのヒントを得たあと、今度は拳銃の密売人と接触するために
闇市をひとりさまよっていく……これが物語3~40分の流れである。台詞やナレーションは
それほど多くない。ただ主人公がさまよう場面が流れる。けれども、退屈しない。
村上の歩く道、その風景がすべてを物語っているのである。


敗戦という絶望的状況から復興していく途中の日本。
そこでは闇市が広がり、犯罪が横行している。一方で、おしゃれな服を着たり、大金を
持って買い物をしている人々もいる。敗戦という出来事を経験しているにもかかわらず、
社会には大きな格差が生まれ、同時に不幸が次々と生まれているのだ。

その象徴たる東京の闇市を村上が歩くことで、人々は時代状況というものを知ることができる。
同時に、なぜ犯罪が起きるのかということについても、あとあと考えさせられることとなる。


村上はベテラン刑事・佐藤(演:志村喬)と組むことになり、やがて犯人が
湯佐(演:木村功)であることを突き止める。そこまでの流れがまた面白い。
取調室でのやりとり、球場での闇商人探し、そして遊佐の身辺調査。

湯佐に同情の念を抱きつつある村上に対して佐藤はこう言う。
まずは村上のセリフから。

「『世の中には悪人はいない。悪い環境があるだけだ』そんな言葉がありますが、
湯佐って男も考えてみりゃ、かわいそうですね」


「いかんいかん。そういう考えは俺たちには禁物だよ。
犯人ばかり追い回しているとよくそんな錯覚を起こすが、
一匹の狼のために傷ついたたくさんの羊を忘れちゃいかんのだ
(中略)
「俺は単純にあいつらを憎む。
悪い奴は悪いんだ




のちに強盗殺人を起こしてしまう遊佐。
戦争から帰ってきた矢先に財産を入れた大事なカバンを盗まれ、
その後、悪友とつるむうちに性格が歪んでいったという。彼が
拳銃を密売人から仕入れたのは、ある女に服をプレゼントするためにお金が
欲しかったから・・・。

戦争と戦後の風景の中で心荒び、定職にも就けず、将来というものに
希望を見出せない青年は、ふとした衝動から拳銃を手に入れたのだ。

物語の主人公・村上とともに観客は犯人たる遊佐に対して感情移入をする。
そこに佐藤は待ったをかけたのである。

犯罪者を犯罪に駆り立てたものについても考えなければならない。
しかし本当に重要なのは犯罪者によって権利と生命を蹂躙されし被害者についてなのだ。


けれども、村上は佐藤の言葉にどうしても納得できない。

「僕はまだ、どうもそういうふうに考えられないんですよ。
長い間、戦争に行っている間に、人間て奴がごく簡単な理由で
獣になるのを何回も見てきたもんですから」


村上も遊佐も実は同じ境遇(戦争に参加し、復員後にかばんを盗まれた)を
持ちながらも違う道を歩むことになる。その差はなにか?

なぜ村上は刑事になり、
木村は強盗殺人犯と化したのだろうか・・・?



湯佐について考える村上の眼を覚まさせるのが、遊佐による二度目の犯行。
この場面では被害者(ある家の妻)の死体の姿や、凄惨な事件現場の風景は描かれない。
野次馬の台詞が惨状を物語る。取り残された女の夫の姿はみじめである。
それまでずっと正座していた夫は急に立ち上がると庭に出て、妻が作ったというトマト畑を
めちゃくちゃにする。この場面のモンタージュ(編集)の妙については、じっさいに
映像を見て確かめてもらうほかない。この場面を期に、村上は遊佐への同情を捨てさる。

村上は湯佐の幼馴染であるハルミ(演:淡路惠子)から情報を聞き出そうと
彼女のアパートでねばる。彼女の母親を挟んだ三人でのやり取り。
ハルミは語る。遊佐が犯罪を犯したのは自分のためにドレスを買う金欲しさで…と。
そして彼女は叫ぶ。

「あの人、あたしのために悪いことをしたんだわ。
でも、あたしだって勇気があったら、自分で盗んだかもしれない。
ショーウィンドーにこんな物を見せびらかしとくのが悪いのよ。
あたし達、こんな物を買うためだったら、盗むよりももっと悪いことを
しなけりゃ駄目なんだ。

みんな世の中が悪いのよ。
復員軍人のリュックを盗むような世の中が



ショーガールという(ある意味、卑しい)職業を行いほそぼそと
生活費をかせぐハルミ。そんな彼女に対し、村上は反論する。

「僕はこう思うんだ。世の中も悪い。
しかし何もかも世の中のせいにして
悪いことをする奴はもっと悪い!


「だって悪い奴は、
大威張りでうまいもの食べて、きれいな着物を着てるわ!
悪いことをする者が勝ちよ!


歯切れの悪いハルミ。彼女は意固地になって湯佐から貰った
ドレスを着てみせ、村上と母親の前で狂ったように回り続ける。
見かねた母親は彼女の頬を叩き、ハルミはようやく我に返り、泣き伏せる・・・。


だが、強気に出た村上には後悔の念が付きまとう。自分の盗まれた銃が
犯行に使われていることを知っているからだ。佐藤はそんな村上に対し、
「銃のことは関係ない」というような言葉をかけるが、その佐藤は遊佐に撃たれ病院へ。
手術室前の扉で「佐藤さん、死なないでくれ!」と悲痛な叫びをあげる村上の姿は
見ていてつらい。

憔悴しきった村上の前にハルミがあらわれ、ここで村上は遊佐を逮捕するための
最後のチャンスを手に入れる。

大原駅へ向かった村上は、駅の待合室で湯佐を探し求める。
ここまで、村上も、映画を見る観客も、遊佐の素顔が分からない。
観客は村上とともに、「誰が湯佐か!?」を探すこととなるのだ。
この場面におけるカメラアングルや、村上の独白は緊張感あふれる。

そして始まる追跡戦。林の中に湯佐を追い詰めた村上。そんな彼に遊佐は
容赦なく発砲する。BGMとして流れるピアノの旋律とのミスマッチが
異常である(この場面で用いられた手法は“対位法”と呼ばれるそうな)

弾を撃ち尽くした湯佐に、腕を負傷しながらも村上は飛びかかり、ついに
手錠をかける。嗚咽を漏らす遊佐と、はぁはぁと息を切らす村上。
ピアノの旋律の次に流れるのはなんと、有名な童謡“ちょうちょう”だ。

村上は、隣で泣き叫ぶ湯佐を見つめる。
そして病院の場面(ラストシーン)へと移り変わる。
遊佐への同情の念を捨てきれない村上に対し、佐藤は語る。

「しかし、君が考えているより、ああいう奴らはたくさんいるんだ。
何人も捕まえているうちに、そんな感傷なんか、なくなるよ」



ハルエの感情について触れたうえで、台詞はこう結ばれる。


「でもね、窓から外を見たまえ。
今日も、あの屋根の下でいろんな事件が起こるだろう。
そして何人か善良な人間が遊佐みたいな奴の餌食になるんだ……。
遊佐のことなんか忘れるんだな。
いや、その腕が治ったらまた忙しくなる。
遊佐のことなんか自然に忘れるよ」


そしてフェードアウトする画面、エンドテロップ。


善悪について、犯罪を起こす人々について……色々と考えさせられる映画だ。
なんとこの映画がテレ朝でドラマ・リメイクされるという!!


さて、どうなるものか・・・?
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どこかの田舎っぺです。
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飾りです。偉い人にはそれが
分からないのです(苦笑)
詳しくは「はじめに」を
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