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「東大落城 安田講堂攻防七十二時間」

大学ではノンフィクションについて勉強しているというのに
それについてまったくブログで書こうとしない、当ブログ管理人(以下省略……)。

今日は久々にノンフィクションを紹介したいと思う。タイトルは、

「東大落城 安田講堂攻防七十二時間」

ようは、城攻めの話である。
城攻めの話というと、最近では「のぼうの城」を思い出すが、まぁ、
ある意味、あれにちかいと言えるかもしれない。





内容:

60年代は学生運動の盛んな時代であり、「全学連」などの
グループによって各大学は混乱、秩序は崩壊状態にあった。
とくに日本のトップである東京大学は学生運動の総本山。
本書は東京大学・安田講堂の治安維持のために出動した機動隊の
当時の指揮官のひとり、佐々淳行による安田講堂突入に関する回顧録である。
本書で描かれる“ドラマ”の背景を知るには(私個人としては)
立花隆の「日本共産党の研究」がオススメである。










ここではまず、学生運動のはじまりを簡単に解説してみたい。


学生運動が盛んになる前の、1950年代。
スターリンは「アメリカ帝国主義(=資本主義)」に抵抗する一環として、
全世界の共産主義思想家たちに武装闘争を命令した。
これを受けて日本でも日本共産党(※現在のとは少し違う)など
共産主義を信奉する者たちが武装闘争(ようはテロリズム、犯罪)開始を掲げた。
しかし、一方で武力闘争を拒否する一派も存在しており、
共産主義勢力は一枚岩ではなかった。

日本の共産主義勢力はいくつかの分派に別れ、ある派閥は武力闘争で警察に次々と逮捕され、
またある派閥は武力闘争とは別の手段で共産主義運動を行った。やがてスターリンにかわって
フルシチョフがソ連の指導者となると、彼はこれまでのスターリンの政治を批判し始め、
それによってスターリンが唱えた武力闘争路線も終わりを迎える…かにみえた。
共産主義の総本山たるソ連の路線変更はその傘下にある共産主義勢力に
混乱を与えた。だが、武力闘争を継続する派閥がなくなることはなかった。


60年代。
米ソ冷戦によって各国の政情は不安定になった。日本では、日米安保条約締結への不満や、
アメリカのベトナム戦争に反対する運動が起き始めていた。そこに、スターリンが提唱した
武力闘争を引き継ぐ共産主義勢力がいわば“合流した”ことによって、
次第に運動は先鋭化していく。若者たちはヘルメットをかぶり、バットや木材・・・凶器となる
ありとあらゆるものを装備して、権力を持つ体制側に反抗を企てるようになった。

はじめの学生運動は若者たちが社会を変えようと動いた運動であった。
しかし、それが政治色を強めるにつれて過激化し、大学を占拠しめちゃくちゃに破壊したり、
あげくのはてには連合赤軍の内ゲバ劇へと悪化の一途をたどったのである。

参考URLとして↓↓↓
「昔の学生運動とかってなぜ起こったのですか?」
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1010634270
「学生運動が盛んだった時、今の団塊世代がたくさん参加していたと聞いたのですが、...」
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1414414144
「日本の学生運動」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E5%AD%A6%E7%94%9F%E9%81%8B%E5%8B%95


で、世論は学生運動をどう見ていたのか。

著者である佐々氏によると、当初、世論は学生による大学権力への抵抗運動にたいして
ある程度、理解を示していたそうである。学生(あるいは若者)がそういう過激行動を起こしても
無理ない社会不安、体制の腐敗が目に見えていたからである
。しかし、それがところかわるのは、
学生運動によって警官に死者が出てからだとのこと。
これ以降、警察も学生運動に対して「容赦なし」と動くようになったそうだ。





香港総領事館で勤務をしていた著者の佐々氏は帰国後、外事一課という部署に配属となり、
学生運動鎮圧のために動くことになった。機動隊の指揮官となった氏は、従来の方法を変え、
あらたな方法を次々と発案、学生運動を鎮圧させていく。。。
そこのところの流れは本書を読んでからのお楽しみ。





本書はあくまでも学生運動を鎮圧した側の視点であり、“回顧録”的な
要素がふんだんに盛り込まれている。(自慢話というほどのものでもないかもしれないが……)
だが、この本で描かれた学生運動の闘士たちの実態については考えさせられる。


安田講堂で戦った学生たちのほとんどは、東大の人間ではないのだ。
・・・どういうことか。これも本書を参照されたし。


高校の日本史などを読んでも、日本の学生運動のことはほとんど書かれていない。そのことを踏まえてか、
著者は終わりのほうで、こう述べている。

東大安田講堂攻防戦は、リアル・タイムのテレビ生中継で現場の状況が長時間、
直接お茶の間に放映された最初の大事件だった。その視聴率の高さは、当時記録的といわれた。
その後「浅間山荘事件」や「湾岸戦争」によってその記録は更新されたが、
何千万という視聴者がテレビの前に釘付けされたという。だがその割には
安田講堂事件は忘れ去られ、あれは一体何だったかということについてはあまり論じられていない。
もちろんその一因は警備当局が、その職務上の立場から四半世紀もの間沈黙していたことにある。
しかし主たる理由は、東大全共闘が〝城攻め〟の直前の土壇場で安田講堂から脱出してしまって、
事実を後世に語り継ぐ生き証人が少なく、
挫折した東大闘争の総括をするものがいなくなったことにある。
(中略)
東大をはじめとする全共闘活動は、
新たなゲマンシャフト的価値観の確立を目指す「連帯」(ソリダリティ)闘争だったと思う。
彼らはたしかに既成の運命共同体(ゲマインシャフト)的価値観、たとえば天皇制、日の丸、
愛国心、古い家族制度などを否定する立場をとったが、同時に高度経済成長期に突入して急速に
勢いを得てきた利益共同体(ゲゼルシャフト)的価値観、たとえば拝金思想、利潤追求、金権政治、
マイホーム主義などにも強く反撥し、〝直接行動〟によってそれらの価値観を破壊しようとした。
そして新しい革命的なゲマインシャフトの連帯意識、
すなわちワン・フォア・オール、オール・フォア・ワンのセクト的団結、個を集団に埋没させる
自己犠牲の献身、自分自身以上の価値のため、利害打算を超えた大きな主義信条のための共同行動を、
組織の構成員たちに強いた。
その意味で目的は誤っていたとしても動機においては純粋な一面があったともいえる。
だが、反社会的な違法行動によってその「新連帯意識」を醸成しようとした結果、
前途有為の若い学生たちの間から一万名を超える被逮捕者、多くの怪我人を出した。
しかも彼らは誰もその道義上の責任をとっていないし、自己批判の弁もない。

(317~319P)




そして、大学闘争の際、逮捕されなかった一部の人間たちが、
やがては「連合赤軍事件」のような凄惨な事件を
起こすことになる。。。



それにしても、
学生運動に加わった人たちは、今の日本をどう見ているのか。
自分たちの過去をどう振り返るのだろうか?????

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No title

あの運動が存在して敗北の道に至ったことについてはわたしは無理からぬことだと思っています。

とはいえ、安田講堂陥落から赤軍リンチ事件に至る、あの運動の「敗北のしかた」は日本の将来、すなわち現代日本のありかたにとってマイナスでしかなかったと思うのであります。

あれによって日本人のほとんどがよくいって保守的、悪くいって拝金主義的になり、一億総カネ儲けに走った結果、バブル期の到来からバブル崩壊、そして先の見えないデフレスパイラルに至ったのではないか、というのがわたしの見解です。

せめて敗北するにせよフランス五月革命くらいのうまい負け方をしてくれれば、もうちょっと日本の現況もマシになっていたのではないかと思います。

でもこんなこと書くとブサヨとかいわれそうだなあ。

Re: No title

ポール・ブリッツ さん、コメントありがとうございます。
別にブサヨなんて言う人なんていないですよ、気にしないでください♪


日本に関していうと、昔の時代に比べたら治安レベルも教育水準も

少しはマシになったのではないかと思います。でもって、いい意味での保守性は
逆に衰退し、個人主義(=という名の身勝手・無責任・無関心・無気力主義)が
横行しているようにも感じられるのです。
まぁ、そのうち日本にも何かいいことが起きるでしょうし、そういうことが
起きるように何らかの活動ができればとも思いますよ・・・微力ながらも。


たしか「民主主義とは何か」というタイトルの新書だったと思うのですが、
それによると革命の先がけといるフランスも状況は日本とそれほど変わらないそうです。
というか、あそこの場合は歴史を見ると革命の頻度が多く、そのために社会秩序が
乱れに乱れまくっているような・・・。


さいきんの政治家は「革命」だとか「改革」などを声高に叫び、私たちは
その言葉に釣られて応援しがちですが、それがもたらす犠牲や弊害について、
なかなか考えたがりません。


・・・・・・ふと、魯迅の「阿Q正伝」を読みなおしたくなりました。



私は革命運動とかに加わった経験はないのですが、かつて学生運動を
行っていた世代の方々は、今の世の中をどう見ているのでしょうか・・・?
プロフィール

黒 紅 茶

Author:黒 紅 茶
どこかの田舎っぺです。
ブログタイトルの“Of”は
飾りです。偉い人にはそれが
分からないのです(苦笑)
詳しくは「はじめに」を
読んでくださいな。

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